情シス
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【2026年最新】社内SE・情シスが抱える8つの課題と解決策|全体像から明日のアクションまで

中小企業の社長・経営層・IT担当者向け。2026年の情シスが直面する課題の「全体像」を8つに整理。制度対応だけでなく、問い合わせ・ひとり情シス・属人化・スキル停滞など組織・人材課題も含め、各課題の解決策を俯瞰します。


「社内SEって楽なんでしょ?」——そう思われがちですが、実際はまったく違います。特に中小企業の情報システム部門(情シス)は、生成AIへの対応、サイバーセキュリティの新制度、慢性的な人手不足、問い合わせ対応、属人化など、かつてないほど多くの課題を抱えています。

本記事では、2026年のいま情シスが直面している 8つの課題の全体像 を俯瞰し、それぞれの 明日からできる解決策 をお伝えします。制度・規制対応(AIガバナンス、SCS評価制度、レガシー刷新)の詳細を知りたい方は、別記事「情シスが取り組むべき3大「制度・規制対応」」をご参照ください。

想定読者

  • 中小企業の社長・経営層で、情シスの課題の全体像を把握したい方
  • 情報システム部門の担当者(情シス・社内SE)で、何から手をつけるか優先順位をつけたい方
  • ひとり情シス体制で、限られたリソースの配分を考えたい方

この記事で得られること

  • 情シスが直面する8つの課題の全体像(攻め・守り・組織・人材の3軸)
  • 各課題の背景と、放置した場合のリスク
  • 各課題に対する明日から着手できる具体的なアクション(一覧形式)
  • 生成AI・AIエージェントの実践的な活用法
  • 経営者向けの3つのアクション

本記事の位置づけ

この記事は 「課題の全体像」 を俯瞰する内容です。制度・規制対応(AIガバナンス、SCS評価制度、レガシー刷新)の詳細な進め方を知りたい方は、3大「制度・規制対応」の記事をご参照ください。

本記事の信頼性

  • 大手SIerで複数社のITコンサル・システム開発案件に従事し、外部から社内SEを見てきた経験
  • 事業会社の情報システム部で社内SEとして勤務した経験
  • 中小企業のAI・IT推進支援に携わる現役の知見

【全体像】社内SE・情シスが抱える8つの課題【2026年版 全体マップ】

まず、8つの課題の全体像を俯瞰しましょう。大きく 「攻め(IT・DX推進)」「守り(セキュリティ・運用)」 、そして 「組織・人材」 の3軸に分かれます。

graph TB
    subgraph 攻め["🔵 攻め(IT・DX推進)"]
        A["課題① 環境変化・DXニーズへの<br/>対応遅れ"]
        B["課題② レガシーシステムの<br/>老朽化"]
        C["課題③ 生成AI・AIエージェント<br/>活用の遅れ"]
    end

    subgraph 守り["🟠 守り(セキュリティ・運用)"]
        D["課題④ SCS評価制度など<br/>セキュリティ新制度への対応"]
        E["課題⑤ 問い合わせ対応<br/>による業務圧迫"]
    end

    subgraph 組織["🟢 組織・人材"]
        F["課題⑥ 人的リソース不足<br/>(ひとり情シス問題)"]
        G["課題⑦ 業務の属人化"]
        H["課題⑧ スキル維持・<br/>キャリア停滞"]
    end

    A --> F
    B --> F
    C --> H
    D --> F
    E --> F
    F --> G
    G --> H

    style 攻め fill:#1a3a5c,stroke:#4a90d9,color:#ffffff
    style 守り fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style 組織 fill:#1a5c3a,stroke:#4ad990,color:#ffffff
    style A fill:#2a4a6c,stroke:#6ab0f9,color:#ffffff
    style B fill:#2a4a6c,stroke:#6ab0f9,color:#ffffff
    style C fill:#2a4a6c,stroke:#6ab0f9,color:#ffffff
    style D fill:#6c4a2a,stroke:#f9b06a,color:#ffffff
    style E fill:#6c4a2a,stroke:#f9b06a,color:#ffffff
    style F fill:#2a6c4a,stroke:#6af9b0,color:#ffffff
    style G fill:#2a6c4a,stroke:#6af9b0,color:#ffffff
    style H fill:#2a6c4a,stroke:#6af9b0,color:#ffffff

すべての課題は相互に影響し合っています。たとえば「人手不足」が「属人化」を生み、「属人化」が「スキル停滞」につながる——という悪循環構造です。

私の経験上、企業規模によって “どの課題に力点が置かれるか” は明確に変わります。 数千人規模の企業の情シスでは、新システムやSaaS導入時に ユーザー・組織情報の自動連携、ロール・アクセス権の適切な設計、導入後のフォロー体制の整備 といった “整流化” の論点が大きな重みを持ちます。一方、中小企業の情シスは 計画・予算策定から開発・運用まで、社内のすべてのシステムを少人数で担う 必要があり、自己裁量は大きい代わりに、やることが常に山積みになりがちです。本記事では中小企業の情シスを主な読者に置きつつ、規模を超えて共通する論点(特に課題⑦の属人化など)も含めて整理しています。

それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。


【課題①】環境変化・DXニーズへの対応遅れ

何が起きているのか?

働き方改革、生成AIの急速な普及、クラウドサービスの多様化——。2026年の企業を取り巻くIT環境は、数年前とはまるで別世界です。

社員から「ChatGPTを業務で使いたい」「リモートでも社内システムに安全にアクセスしたい」「紙の申請をなくしてほしい」といった要望が次々と上がってきます。

しかし、中小企業の情シスは 既存業務(システム保守、法制度対応、日々のトラブル対応)で手一杯 というのが実態です。新しい技術やサービスの検討に割ける時間がほとんどありません。

2026年の背景データ

経済産業省の「DXレポート」で指摘された 「2025年の崖」 は、まさに現実のものとなりました。多くの中小企業で老朽化したシステムがDX推進の足かせとなり、年間最大12兆円規模の経済損失が発生しうると警告されています。

一方、JUASの「企業IT動向調査2025」によれば、生成AIを導入済みまたは準備中の企業は 約4割 に達しています。ただし、中小企業に限ると導入率は 約5%程度 と大企業との格差は歴然としています。

放置するとどうなるか

  • 競合他社がDXで先行し、顧客対応力・コスト効率で差がつく
  • 社員の不満が蓄積し、優秀な人材の離職につながる
  • 将来の事業継続リスクが高まる

✅ 明日からできるアクション

やること具体例目安コスト
現状の「見える化」社内のIT環境・業務フローを一覧表に整理する無料
「身の丈DX」から始める紙の申請書1つをGoogleフォームに置き換える無料〜月数千円
外部の知見を活用商工会議所のDX相談窓口、よろず支援拠点を利用する無料
補助金を活用IT導入補助金、省力化投資補助金を申請する補助率1/2〜2/3

ポイント: 全社一斉のDXを目指すのではなく、「一番困っていること」を1つ選んで小さく始めるのが成功のコツです。


【課題②】レガシーシステムの老朽化

📌 深掘り記事: レガシー刷新の詳細(モダナイゼーション手法、段階的移行ロードマップ、補助金)は、3大「制度・規制対応」の記事で解説しています。

何が起きているのか?

社内には「壊れるまで使おう」と放置されているシステムが数多く存在します。導入から10年以上経過し、開発当時の担当者はすでに退職。仕様書もない。触ると何が起きるかわからない——まさに 「パンドラの箱」 状態です。

レガシーシステムが引き起こす悪循環

graph TB
    A["システム老朽化"] --> B["保守コスト増大"]
    B --> C["新規投資の余裕なし"]
    C --> D["DXが進まない"]
    D --> E["競争力低下"]
    E --> F["売上・利益減少"]
    F --> C

    A --> G["セキュリティリスク増大"]
    G --> H["サイバー攻撃被害"]
    H --> F

    style A fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style B fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style C fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style D fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style E fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style F fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style G fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style H fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff

2026年の視点:生成AIがレガシー脱却の鍵に

ここで朗報です。生成AIの進化により、レガシーシステムの移行作業そのものが効率化できるようになりました。

  • 古いプログラムコードの解析 → 生成AIが仕様書のないCOBOLコードなどを読み解き、ドキュメント化
  • 新システムへの移行支援 → AIがコード変換や設計書作成を補助
  • 運用・保守の自動化 → AIが異常検知やログ分析を実施

💡 COBOL(コボル)とは? 1960年代に開発された古いプログラミング言語。銀行や大企業の基幹システムで今も使われているが、読み書きできるエンジニアが年々減少しています。

✅ 明日からできるアクション

やること具体例
システム台帳の作成社内の全システムをExcelでリスト化(名称・導入年・担当者・EOL時期)
リスク優先度の判定「停止したら業務が止まるか?」で重要度を3段階に分類
クラウド移行の検討まずはファイルサーバーやメールから段階的にクラウド化

💡 EOL(End Of Life)とは? メーカーによるサポートが終了する時期のこと。EOLを過ぎたシステムはセキュリティ更新が受けられず、サイバー攻撃に対して無防備になります。


【課題③】生成AI・AIエージェント活用の遅れ

📌 深掘り記事: AIガバナンス(利用ポリシー策定、社内教育、4つのステップ)の詳細は、3大「制度・規制対応」の記事で解説しています。

何が起きているのか?

2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれ、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが企業活動に本格的に浸透しました。2026年は、AIが 「試す年」から「評価される年」 へと移行しています。

大企業ではAIを事業の中核に据えた変革が進む一方、中小企業では「興味はあるが何から手をつければいいかわからない」という状態が続いています。

生成AIとAIエージェントの違い

IT初心者の方に向けて、ここで用語を整理します。

graph TB
    subgraph 生成AI["🤖 生成AI"]
        A1["人間の指示(プロンプト)に対して<br/>文章・画像・コードなどを生成"]
        A2["例:ChatGPT、Gemini、Claude"]
    end

    subgraph AIエージェント["🚀 AIエージェント"]
        B1["自ら判断して<br/>複数の作業を連続実行"]
        B2["例:社内問い合わせの自動回答、<br/>請求書処理の自動化"]
    end

    生成AI -->|"進化"| AIエージェント

    style 生成AI fill:#1a3a5c,stroke:#4a90d9,color:#ffffff
    style AIエージェント fill:#5c1a3a,stroke:#d94a90,color:#ffffff
    style A1 fill:#2a4a6c,stroke:#6ab0f9,color:#ffffff
    style A2 fill:#2a4a6c,stroke:#6ab0f9,color:#ffffff
    style B1 fill:#6c2a4a,stroke:#f96ab0,color:#ffffff
    style B2 fill:#6c2a4a,stroke:#f96ab0,color:#ffffff

生成AI は「聞いたことに答えてくれるアシスタント」、AIエージェント は「自分で考えて仕事をこなしてくれるデジタル社員」とイメージすると分かりやすいと思います。

中小企業でもすぐに始められるAI活用ユースケース

活用場面具体的な使い方期待効果
社内問い合わせ対応FAQをAIチャットボットに学習させ、「パスワードリセット」「VPN接続方法」などの定型質問を自動回答問い合わせ対応時間 50〜80%削減
議事録・報告書作成会議の録音データをAIで文字起こし+要約作成時間 1/3以下
メール・文書作成取引先への定型メール、社内通知文をAIでドラフト作成作成時間 50%削減
マニュアル作成既存の手順書をAIに読み込ませ、新人向けに分かりやすく書き直し教育コスト削減
データ分析売上データや在庫データの傾向分析をAIに依頼分析スピード 数倍向上

✅ 明日からできるアクション

  1. まず使ってみる ── ChatGPT(無料版あり)やMicrosoft Copilotで、日常業務の1つを試す
  2. 社内ルールを決める ── 「機密情報は入力しない」「出力結果は必ず人がチェック」などの最低限のルールを策定
  3. 成功事例を社内共有 ── 1つでも「これは便利だった」という事例ができたら、朝礼やチャットで全社に共有

⚠️ 注意: 生成AIは便利ですが、出力内容に誤りが含まれることがあります(ハルシネーション)。業務で使う場合は 必ず人間が最終確認 する運用ルールを設けましょう。


【課題④】SCS評価制度などセキュリティ新制度への対応

📌 深掘り記事: SCS評価制度の詳細(評価レベル、5つの準備、ユースケース、対応スケジュール)は、3大「制度・規制対応」の記事で解説しています。

何が起きているのか?

2025年末、経済産業省と内閣官房は 「SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)」 の制度構築方針案を公表しました。2026年度末(2027年3月頃)の制度開始 が予定されています。

これは、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティレベルを ★3〜★5の3段階で「見える化」 する制度です。

SCS評価制度の全体像

graph TB
    subgraph 既存["既存制度(IPA SECURITY ACTION)"]
        S1["★1:5項目の基本対策を宣言"]
        S2["★2:25項目の対策を宣言"]
    end

    subgraph 新制度["新制度(SCS評価制度)2026年度末〜"]
        S3["★3 Basic<br/>専門家確認付き自己評価<br/>26の要求事項 / 83項目"]
        S4["★4 Standard<br/>第三者評価<br/>56の要求事項 / 157項目"]
        S5["★5 Advanced<br/>リスクベースの高度対策<br/>詳細は今後検討"]
    end

    S1 --> S2
    S2 --> S3
    S3 --> S4
    S4 --> S5

    style 既存 fill:#2a4a2a,stroke:#6ab06a,color:#ffffff
    style 新制度 fill:#4a2a2a,stroke:#b06a6a,color:#ffffff
    style S1 fill:#3a5a3a,stroke:#8ad08a,color:#ffffff
    style S2 fill:#3a5a3a,stroke:#8ad08a,color:#ffffff
    style S3 fill:#5a3a3a,stroke:#d08a8a,color:#ffffff
    style S4 fill:#5a3a3a,stroke:#d08a8a,color:#ffffff
    style S5 fill:#5a3a3a,stroke:#d08a8a,color:#ffffff

なぜ中小企業にも関係するのか?

「うちは中小企業だから関係ない」は通用しません。 理由は以下の通りです。

  • 大手取引先が、取引条件として ★3以上の取得を求めてくる可能性 がある
  • 政府調達や重要インフラ関連の案件では、評価取得が 入札条件 になる見通し
  • サプライチェーン攻撃(取引先経由のサイバー攻撃)が急増しており、自社の防御だけでは不十分

💡 サプライチェーン攻撃とは? 標的企業に直接攻撃するのではなく、セキュリティの弱い取引先や委託先を踏み台にして侵入するサイバー攻撃手法。2025年には、国内のセキュリティインシデントの侵入口として「他組織経由」が最多となりました。

✅ 今から始める3つの準備

ステップやること参考リンク
Step 1IPA「SECURITY ACTION」で★1 or ★2を自己宣言するIPA SECURITY ACTION
Step 2社内のIT資産(PC、サーバー、ソフトウェア)を棚卸しする
Step 3「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」で自社の対策状況をセルフチェック経済産業省 ガイドライン

【課題⑤】問い合わせ対応による業務圧迫

何が起きているのか?

「パソコンが動かない」「Wi-Fiがつながらない」「○○システムの使い方がわからない」——こうした問い合わせが日々押し寄せ、情シスの1日があっという間に終わります。

特に中小企業では、情シス担当が1〜2名という体制も珍しくなく、問い合わせ対応だけで 本来の業務(システム開発、セキュリティ対策、DX推進)に手が回らない という状況が常態化しています。

問い合わせ対応の悪循環

graph TB
    A["問い合わせが<br/>殺到"] --> B["情シス担当の<br/>時間がなくなる"]
    B --> C["マニュアル整備や<br/>FAQが作れない"]
    C --> D["同じ質問が<br/>何度も来る"]
    D --> A

    B --> E["DX推進・<br/>セキュリティ対策が<br/>後回しに"]

    style A fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style B fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style C fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style D fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style E fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff

2026年の解決策:AIヘルプデスクの活用

2026年のいま、AIヘルプデスク を導入すれば、定型的な問い合わせの50〜80%を自動回答で処理できます。

AIヘルプデスクの仕組み(イメージ):

sequenceDiagram
    participant 社員
    participant AIチャットボット
    participant 情シス担当者

    社員->>AIチャットボット: 「VPNの接続方法を教えて」
    AIチャットボット->>AIチャットボット: FAQとマニュアルを検索
    AIチャットボット->>社員: 手順を自動回答 ✅

    社員->>AIチャットボット: 「新しいPCのセットアップをお願いしたい」
    AIチャットボット->>AIチャットボット: 定型対応では解決できないと判断
    AIチャットボット->>情シス担当者: 有人対応にエスカレーション 🔔
    情シス担当者->>社員: 個別対応

✅ 明日からできるアクション

  1. 問い合わせログを1週間記録 ── 「どんな質問が多いか」を把握する
  2. FAQ文書を10個作成 ── 頻出の質問と回答をWordやGoogleドキュメントにまとめる
  3. AIチャットボットの導入検討 ── Microsoft TeamsやSlackと連携できるAIヘルプデスクサービスを試す(無料トライアルがあるサービスも多い)

問い合わせ半減の具体的な4ステップ(ログ分析→FAQ整備→チャットボット構築→文化定着)は「社内ヘルプデスクの問い合わせを半減させる」で詳しく解説しています。


【課題⑥】人的リソース不足(ひとり情シス問題)

何が起きているのか?

中小企業では、情報システム部門の専任担当者がいないケースも多く、総務や経理との 兼任で1人がIT業務を担う「ひとり情シス」 が増加しています。

東京商工会議所の調査によると、中小企業の 6割以上がデジタル人材の確保に苦慮 しており、IT人材の確保は全国的に深刻な課題です。経済産業省の試算では、IT人材不足は 約43万人 に達するとされています。

「ひとり情シス」の厳しい現実

pie title ひとり情シスの業務時間配分(典型例)
    "問い合わせ対応" : 35
    "システム保守・運用" : 25
    "トラブル対応" : 20
    "兼任業務(総務・経理等)" : 15
    "DX推進・改善活動" : 5

見てのとおり、DX推進や改善活動に使える時間はわずか 5% 程度。これでは「攻めのIT」に取り組む余裕はありません。

✅ 明日からできるアクション

対策具体的な方法
外部リソースの活用ITベンダーやフリーランスのITコンサルに月額契約で一部業務を委託
マネージドサービスの利用サーバー管理やセキュリティ監視をクラウドサービスに任せる
AIによる省力化定型作業(バックアップ、パッチ適用、問い合わせ対応)を自動化
経営層への提言「IT人材がいないリスク」を数字で示し、採用・育成の予算を確保

【課題⑦】業務の属人化

何が起きているのか?

「あのシステムのことは○○さんしか知らない」「この手順は○○さんに聞かないとわからない」——中小企業の情シスでは、こうした 属人化 が深刻です。

情シスはIT知識が必要なため人事異動が少なく、長年同じ人が同じ業務を担当します。結果として、知識やノウハウが個人に集中し、その人が退職・異動・休職した瞬間に 業務が回らなくなるリスク を抱えています。退職・異動時の引き継ぎドキュメント整備は「情シスの「引き継ぎ」完全ガイド」で具体的なテンプレートと手順を解説しています。

私の経験上、属人化は 企業規模を問わず、ほぼすべての情報システム部門で発生する 構造的な課題です。情シス業務は専門性が高く、社内の人事ローテーションが他部門と比べて固定化しやすい。さらに「人事異動を行うと、安定運用していたシステムの保守が一時的に停滞する」という懸念から、組織側も異動に慎重になりやすく、結果として 「○○システムは○○さんが何とかしてくれている」 という状態が静かに固定化していきます。中小・大企業を問わず、ここを意識的に崩しに行かない限り、属人化は時間の経過とともに必ず濃くなっていく傾向があります。

属人化が引き起こすリスク

graph TB
    A["業務の属人化"] --> B["担当者不在時に<br/>業務が停止"]
    A --> C["引き継ぎが<br/>困難"]
    A --> D["特定の人に<br/>負荷集中"]
    D --> E["担当者の<br/>バーンアウト・離職"]
    E --> B
    B --> F["事業継続リスク"]
    C --> F

    style A fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style F fill:#8B0000,stroke:#FF6347,color:#ffffff
    style B fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style C fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style D fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style E fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff

✅ 明日からできるアクション

  1. 業務棚卸し ── 情シスメンバー全員の業務を書き出し、「その人しかできない業務」にマークをつける
  2. 手順書の作成 ── 属人化度の高い業務から優先的に手順書を作成する(生成AIを活用すると効率的)
  3. ペア運用 ── 1つの業務に必ず2人以上が関わる体制をつくる(主担当+副担当)
  4. ナレッジ管理ツールの導入 ── Notion、Confluence、SharePointなどで社内Wikiを構築

私が実際に部内で進めているアプローチは、属人化しているベテラン社員と意識的にコミュニケーションを取り、発言・判断のクセをテキスト化していく という地道な取り組みです。具体的には、(1) ベテランに アドバイザー的な役割を別途与え、他のメンバーと接触する機会を意図的に増やす、(2) その対話・OJT用資料を 本人に整備してもらい部内で共有、(3) 整備された資料を 生成AI(チャットボット・RAG)に読み込ませて、属人化の度合いを下げる ── という流れです。一気に手順書化を強制するのではなく、ベテラン本人を「教える側」として尊重するスタンスを取ることが、心理的な抵抗を抑えながら知識の流動化を進める上で重要だと感じています。


【課題⑧】スキル維持・キャリア停滞

何が起きているのか?

中小企業の社内SEは、自社でプログラミングやサーバー構築を行う機会が少なく、業務の大半が ベンダーとの調整・管理業務 になりがちです。元々エンジニアとして手を動かしていた人も、実作業から離れることで技術力にブランクが生じます。ベンダーとの関係構築や見積もり管理にお悩みの方は、「ベンダーマネジメントの基本 ── IT業者に振り回されないための5つの心得」も参考になります。

さらに、生成AIの急速な進化により、「AIを使いこなせるか否か」が情シス担当者のキャリアを左右する 時代になりました。

2026年に情シスに求められるスキルの変化

graph TB
    subgraph 従来["従来のスキル"]
        A1["ハードウェア管理"]
        A2["ネットワーク構築"]
        A3["ベンダー管理"]
    end

    subgraph 2026["2026年に追加で必要なスキル"]
        B1["生成AI活用<br/>(プロンプト設計・ルール策定)"]
        B2["サイバーセキュリティ<br/>(SCS制度対応)"]
        B3["クラウドサービス<br/>設計・運用"]
        B4["データ活用<br/>(BIツール・分析)"]
    end

    従来 --> 2026

    style 従来 fill:#3a3a5c,stroke:#8a8ad0,color:#ffffff
    style 2026 fill:#5c3a1a,stroke:#d9904a,color:#ffffff
    style A1 fill:#4a4a6c,stroke:#aaaaf0,color:#ffffff
    style A2 fill:#4a4a6c,stroke:#aaaaf0,color:#ffffff
    style A3 fill:#4a4a6c,stroke:#aaaaf0,color:#ffffff
    style B1 fill:#6c4a2a,stroke:#f0aa6a,color:#ffffff
    style B2 fill:#6c4a2a,stroke:#f0aa6a,color:#ffffff
    style B3 fill:#6c4a2a,stroke:#f0aa6a,color:#ffffff
    style B4 fill:#6c4a2a,stroke:#f0aa6a,color:#ffffff

✅ 明日からできるアクション

スキル領域学習方法コスト目安
生成AIまず自分で毎日使う → 社内勉強会で共有無料〜月数千円
セキュリティIPA「情報セキュリティマネジメント試験」を受験受験料 7,500円
クラウドAWS / Azure / Google Cloud の無料学習コースを受講無料
データ活用Google データアナリティクス認定を取得無料(Coursera)

【経営者向け】今日から取るべき3つのアクション

ここまで8つの課題を見てきました。最後に、経営者・意思決定者として今すぐ取るべきアクション を3つに絞ってお伝えします。

graph TB
    A["アクション①<br/>情シスの現状を正しく把握する"] --> B["アクション②<br/>『小さく始めて、早く回す』<br/>DX・AI活用を開始する"]
    B --> C["アクション③<br/>SCS評価制度を見据えた<br/>セキュリティ体制を整える"]

    style A fill:#1a5c3a,stroke:#4ad990,color:#ffffff
    style B fill:#1a3a5c,stroke:#4a90d9,color:#ffffff
    style C fill:#5c1a3a,stroke:#d94a90,color:#ffffff

アクション① 情シスの現状を正しく把握する

「情シスは売上に直結しない」と思い込んでいませんか? 情シスが機能しなければ、メールも、受発注システムも、給与計算も止まります。

まずは情シス担当者と 30分の面談 をしてください。「いま何に困っているか」「何ができれば助かるか」を聞くだけで、打つべき手が見えてきます。

アクション② 「小さく始めて、早く回す」DX・AI活用を開始する

いきなり数百万円のシステム投資は不要です。まずは 月額数千円のクラウドサービス無料の生成AI から始めましょう。

おすすめの第一歩:

  • Google Workspace / Microsoft 365 の導入(メール・ファイル共有・オンライン会議を一元化)
  • ChatGPT / Microsoft Copilot で社内文書作成を効率化
  • kintone / Notion などのノーコードツールで簡単な業務アプリを作成

アクション③ SCS評価制度を見据えたセキュリティ体制を整える

2026年度末の制度開始に向けて、今から準備を始めましょう。特に大手企業と取引がある場合、取引条件としてセキュリティ評価の取得を求められる可能性 があります。

まずは IPA「SECURITY ACTION」の★2宣言 を目標にしましょう。費用はかかりません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 社内SEが1人しかいません。何から手をつけるべきですか?

A. まずは 問い合わせ対応の効率化 から始めましょう。FAQ文書の作成→社内共有→AIチャットボット導入と段階を踏むことで、浮いた時間を他の課題に充てられます。

Q2. 生成AIを業務で使いたいのですが、情報漏洩が心配です。

A. 最低限のルール(機密情報の入力禁止、出力結果の人的チェック)を定めた上で、法人向けプラン(ChatGPT Team / Enterprise、Microsoft 365 Copilot など)を利用すれば、入力データがAIの学習に使われないため安全性が高まります。

Q3. SCS評価制度は義務ですか?

A. 2026年2月時点では義務ではありません。ただし、大手取引先が取引条件に含める可能性や、将来の義務化の可能性もあります。今から準備しておいて損はありません。

Q4. 「2025年の崖」は結局どうなったのですか?

A. 多くの企業でレガシーシステムの問題は解消されておらず、「崖を落ちている最中」というのが現実です。ただし、クラウドサービスの充実やAIの進化により、段階的な移行が以前よりも容易になっています。今からでも遅くありません。

Q5. IT補助金・助成金にはどんなものがありますか?

A. 主なものとして、IT導入補助金(中小企業のITツール導入を支援)、省力化投資補助金(業務自動化のための設備投資を支援)、ものづくり補助金(革新的なサービス開発を支援)などがあります。最新の情報は中小企業庁や各自治体のWebサイトで確認してください。

Q6. 社内にIT人材がまったくいません。どうすればよいですか?

A. 社内人材の育成(リスキリング)と外部リソースの活用を組み合わせましょう。ITベンダーへのアウトソーシング、フリーランスITコンサルの活用、商工会議所のDX支援窓口への相談など、選択肢は複数あります。


【まとめ】8つの課題を乗り越える、最初の一歩

本記事の内容をまとめると、こんな感じになります。

課題キーワード最初の一歩
① 環境変化への対応遅れ身の丈DX紙の申請書を1つデジタル化
② レガシーシステムシステム台帳全システムをリスト化
③ 生成AI活用の遅れまず使ってみるChatGPTで議事録作成を試す
④ セキュリティ新制度SCS評価制度SECURITY ACTION ★2を宣言
⑤ 問い合わせ圧迫AIヘルプデスクFAQ文書を10個作る
⑥ 人手不足ひとり情シス脱却外部リソース活用を検討
⑦ 属人化ナレッジ共有属人化業務の手順書を1つ作成
⑧ スキル停滞リスキリング毎日30分、AIを業務で使う

2026年の社内SE・情シスは、かつてないほど多くの課題に直面しています。しかし、裏を返せば 生成AI、クラウド、AIエージェント という強力なツールが揃った時代でもあります。

大切なのは、全部を一度にやろうとしないこと です。自社で最も痛みを感じている課題を1つ選び、小さく始めてください。その小さな一歩が、会社のIT環境を大きく変える第一歩になると思います。

なお、制度・規制対応(AIガバナンス、SCS評価制度、レガシー刷新)を深掘りしたい方は、3大「制度・規制対応」の記事もあわせてご覧ください。


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以上となります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。制度や技術動向は変化する可能性があるため、最新情報は各省庁・団体の公式サイトをご確認ください。